計量検定担当
業務概要
大分県産業科学技術センター計量検定担当では、計量法に基づいて、大分県の適正な計量の実施を確保し、産業経済の発展及び文化の向上に寄与するため、次のような業務を行っています。
- 計量に関する事業の登録及び届出事務
- 特定計量器の検定
- 基準器の検査
- 計量証明事業登録計量器の検査
- 特定計量器の定期検査
- 特定計量器及び量目等の立入検査
- 適正計量管理事業者の指定及び計量管理の推進、指導
- 計量に関する指導、普及
- その他計量に関すること
以上の業務を県下全域について行っています。
※大分市域については大分市が特定市として経済産業大臣の指定がされていますので、同市が特定計量器の定期 検査や立入検査及び計量に関する指導を行っています。
計量検定とは?
1.正しい計量
私たちの身の周りでは、いろんなところで「はかる」=計量が行われています。例えば、食料品などのはかり売り、ガソリンスタンドでの給油量、ガス・水道の使用量など身近なところで行われていて、私たちの生活の一部となっているのです。皆さんは、この「はかる」ときに使用される計量器はすべて正しいと思っていますか?もし、これらのはかりが正しく作動していなかったり、使い方が間違っていたら、私たちの暮らしは大変なことになってしまいます。そこで、国が「計量法」という法律を作り、正確にものをはかれるようにルールを決めています。(ここからは計量法のことを「法」と表記します。)
取り引き | 物象の状態の量 | 計量の単位 |
---|---|---|
肉・魚など | 質量(おもさ) | kg・g・mg(キログラム・グラム・ミリグラム)等 |
燃料油(ガソリン等) | 体積(液体の量) | L・l・ml(リットル・リットル・ミリリットル)等 (基本的に大文字・小文字のエルを使用します。) |
タクシーメーター | 長さ(距離) | m(メートル)等(現在メーター上に距離は表示されません。) |
電気 | 電力量 | kw(キロワット)等 |
大分県では毎年11月の計量強調月間にあわせて、各市町村と大分県計量協会の協力を得て計量普及事業を行っています。
11月1日は計量記念日・11月は計量強調月間
改正計量法が平成5年11月1日に施行されたことを記念し11月1日は計量記念日となっています。これに伴い毎年11月を計量強調月間として計量に関した行事などが行われています。
計量記念日について(計量振興協会記事抜粋)
計量に関する制度は、経済・社会の最も基本的な制度であり、国民生活のあらゆる分野の基盤的制度です。計量の基準を定め、適正な計量を確保することは、日常の生活を守るとともに、経済の発展及び文化の向上のために非常に重要なものです。経済産業省では現行の計量法が施行された平成5年11月1日にちなみ、以後11月1日を「計量記念日」とし、計量法の適切な実施とともに計量思想の普及啓発に努めています。
本年も計量記念日全国大会を中心とする各種事業を地域をあげて推進し、広く計量への意識を喚起するとともに、関係者相互の連携強化をはかることを目指します。
毎年県内の2市町村を会場として計量に関しての講習と商品の試買調査などを行っています。
毎年県内の3市町村の街頭でリーフレットの配布を行っています。
ポスターの配布などを行っています。
正しくはかるためには、まず、計量器が正しくなくてはいけません。そのために「法」では、質量計(はかり、分銅)・燃料油メーター・タクシーメーターなど18種類の計量器を「特定計量器」として定めて、製造・修理した ものが一定の基準にあっているか公的機関が検査します。この検査を「検定」といいます。検定に合格すると「検定証印」という印が付けられ取引や証明に使えるようになります。
検定には有効期間があったり、定期的な検査が義務づけられ、正しい計量器が私たちの周りにあるようになっています(検定証印と同様の効力を持つ基準適合証印が付されているものもあります)。
検査証印
基準適合証
正しい計量器を使っていても、使い方が誤っていては台無しです。それぞれ適切な設置、使用環境、使用方法を守ることでより正確な値を知ることができます。質量計を例にすると少し斜めになっただけでも計量値がずれることがあるのです。
必ず取扱説明書をよく読んでから使用してください。
1.なるべく水平でしっかりしたところに置く。
2.はかりが水平になるよう水平器を見ながら調整する。
3.ゼロ点を合わせてから使用する。
4.計量する品物は乗せ台の中央に乗せる。
お肉など、はかり売りのものを購入するときに「トレイ・飾り・ラップ・調味料」等が一緒になっていますが、これらは風袋と言って正味量からは除かれなけ ればいけません。
一般的に家庭で使用されているキッチンスケール等の質量計は、構造や精度が一定の基準に適合するように作られています。この基準に適合したはかりには家庭用計量器の表示がされていて、正確にはかることができます。
※この表示のあるものは取引・証明には使用できませんのでご注意ください。
家庭用特定計量器基準適合義務の表示
質量はその物質固有のものでg(グラム)やkg(キログラム)で表されますが重量とは違うものです。重量は重力の影響を受けるので地球上でも南極と赤道上では重さが0.5%ほど違っています。これは、遠心力の影響で赤道上の方が軽くなります。
実際には地域ごとに調整されたはかりが使用されるのでわかりませんが、そのはかりを別の地域に持って行くとほんの少し差が現れます。
人間が「はかる」ことを始めたのは約10000年以上も前だと言われています。そして、最初にはかったものは時間であると考えられており、太陽や月の満ち欠けが利用されたと言われています。計量器の中では約7000年前エジプトで重さを量るための「天秤」が作られました。以来それぞれの国で色々な基準で計量が行われてきました。
約1300年前の西暦701年「大宝律令」に計量の制度が見受けられます。そして1590年に豊臣秀吉が行った太閤検地で、それまでバラバラだった日本の計量単位が統一されました。
近代では戦後昭和26年計量法が公布され、平成5年世界共通の計量単位を採用した改正計量法が施行されました。
2.事業届出・登録・指定及び計量士登録
計量器の製造・販売・修理を行う事業者は計量法の定めにより、届出を行う必要があります。
- 製造事業の届出先 : 大分県を経由して、経済産業大臣へ
- 販売事業、修理事業の届出先 : 大分県
計量証明とは、法定計量単位により物象の状態の量を計り、その結果に関して、公に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を数値を伴って表明することです。計量証明の事業であって次に掲げる1・2の事業を行おうとする者は、計量法の定めにより、都道府県知事への登録が必要です。
1 運送、寄託又は売買の目的たる貨物の積卸し又は入出庫に際して行うその貨物の長さ、質量、面積、体積又は熱量の計量証明(船積貨物の積込み又は陸揚げに際して行うその貨物の質量又は体積の計量証明を除く。)の事業(一般計量証明事業)
2 濃度、音圧レベルその他の物象の状態の量で政令で定めるものの計量証明の事業(環境計量証明事業)
計量証明事業を新しく始めようと考えている事業者向けに詳しい内容の資料もありますので、大分県産業科学技術センター計量検定担当までお問い合わせください。
一般計量証明事業の登録を受けようとする事業所には、1人以上の一般計量士又は主任計量者(計量士等)の配置が必要です。主任計量者になるための試験を受けたい方は、主任計量者講習会・主任計量者試験申込書を提出してください。
計量士等の不在の期間は証明書の発行ができないため、退職等見込まれる場合は、早めにご連絡ください。なお、長期にわたって補充ができない場合は、事業の廃止届が必要です。
計量法では、事業所による自主的な計量管理を推進する観点から、国家資格を持つ計量士による定期的な計量器の検査や従業員等への計量管理の指導、量目の検査など、適正な計量管理が行われていると国又は都道府県知事が認めるときは、「適正計量管理事業所」の指定を受けることができます。
適正計量管理事業所の指定を受けようとする者(国の事業所を除く)は、計量法の定めにより、都道府県知事(その所在地が特定市町村の区域にある場合は、特定市町村を経由して都道府県知事)への申請が必要です。
計量士とは、計量に関する専門の知識・技術を有する者に対して一定の資格を与え、一定分野の職務を分担させることにより、計量器の自主的管理を推進し、適正な計量の実施を確保することを目的とされた国家資格です。
計量士は、計量器の整備、計量の正確の保持、計量の方法の改善その他適正な計量の実施を確保するために必要な措置を講ずることを職務とし、主に適正計量管理事業所及び計量証明事業所において計量管理等を行っています。その活動分野ごとに一般計量士、環境計量士の濃度関係と騒音・振動関係の3区分があります。また、計量管理等のほかに、都道府県知事・特定市町村長が行う定期検査等を代わりに実施することができます。
計量士の登録及び資格認定の申請は、申請者の住所又は勤務先の所在する都道府県を経由して経済産業大臣に行います。このため、県内にお住まいの方又は県内にお勤めの方の計量士の登録申請及び計量士登録証の訂正・再交付並びに計量士資格認定の申請、計量士資格認定証の再交付申請の書類の受付を行っています。
お預かりした申請書類は、経済産業省に進達し、同省で登録等の手続きが行われます。
3.検定・検査及び基準器検査
特定計量器で取引や証明に用いられるものには検定が義務付けられており、特定計量器の精度・構造などが計量法に定められた技術上の基準に適合しているかの確認を行います。検定は、事業者からの申請を受け都道府県等の検定機関が行います。
また、タクシーメーターは、タクシーメーターを車両に装着した状態での性能が計量法に定められた基準に適合しているかの検査を行います。これを装置検査といいます。
検定・検査有効期間一覧表
一般
環境
特定計量器の検定及び定期検査等を行うときに基準として使用される計量器が基準器です。
この基準器が規定された基準を満たしているかの確認を行う検査を基準器検査といい、これに合格した計量器には、基準器検査証印が付されるとともに、基準器検査成績書が交付されます。
基準器にも種類ごとに有効期間が定められています。
それぞれの計量を行ううえで世界共通の基準となるもの「国際標準」が定められています。それらは原器などと呼ばれており、これにより校正された日本の国家標準となるものが独立行政法人産業技術総合研究所(茨城県つくば市)等に保管されています。
この国家標準は特定標準器といわれ、比較に多用されることはなく保管されており、通常は同レベルに校正された精度の高い特定副標準器が実務に使用されます。特定副標準器から校正され特定計量器の検定・検査に使用されるものを実用標準器や基準器と言います。そしてこの基準器と比較され特定計量器の精度が保たれています。
このように世界の基準から次々と比較され精度が保たれている状態、言い換えれば身近な計量器が世界の基準につながっていることをトレーサビリティと言います。
質量の基本単位はkg(キログラム)です。
2019年から、国際キログラム原器に質量変動があったことを受けて、普遍的な物理定数であるプランク定数を基準とした下記の定義に移行しました。
プランク定数hを単位Js(kg m2 s-1に等しい)で表したときに、その数値を6.626 070 15×10−34と定めることによって定義される。ここで、メートルおよび秒は光の速さcおよびセシウム周波数Δvcsに関連して定義される。
以前は、メートル条約による第1回国際度量衡総会(1889年)において、国際的な基準となるキログラム原器による定義が承認され、日本にも国際キログラム原器の複製が配布されました。日本のキログラム原器は定期的に国際キログラム原器(パリ)を用いて校正され、このときの誤差は百万分の一単位に納められていました。
ちなみに、それより昔の18世紀は水1Lの質量として定義されてました。
4.定期検査及び手数料
正しい計量器による計量取引の適正化を図るため、計量法では、取引及び証明に使用されている計量器について、定期的に検査を受けることが義務づけられています。
検査の結果、基準に適合しない計量器は、検定証印等が抹消され、以後、取引・証明に使用できなくなります。
※取引における計量
【具体例】はかり売り、官公庁等の納品検収、宅配便物の引き受け など
※証明における計量
【具体例】学校・病院・保健所等での体重測定値の通知等、公文書等への計量値記載 など
1.集合検査
検査は大分県を2つのブロックに分け、各市町村の協力を得て、市町村ごとに検査日及び会場を設定しています。
お住まいの市町村で検査を受検されなかった場合は、大分県産業科学技術センター(大分市)まで、はかりを持参していただき検査を受けることになりますので、必ず受検してください。
新しくはかりを使い始めた方、廃業等によりはかりの使用を中止した方は、お手数ですがお住まいの市町村の担当部署までご連絡ください。
なお、ひょう量が300kgを超えるはかりについては、定期検査に代わる計量士による検査を受検してください。計量士については、大分県産業科学技術センター計量検定担当までお問い合わせください。
検査日程及び検査場所については、検査実施日までに郵送される受験票(はがき)、または県報(市報)を確認してください。検査には手数料が必要です。
2.所在場所検査(特定計量器検定検査規則第39条)
大型であったり、建物等に備え付けてあり取り外しができない場合等は、所在場所での検査ができます。この場合は別途費用が必要になるなど、集合検査と取扱が異なりますので、事前に大分県産業科学技術センター計量検定担当までお問い合わせください。
3.定期検査に代わる計量士による検査(法第25条)
定期検査に代わって一般計量士が法令で定められた検査を行うことが出来ます。詳しくは大分県産業科学技術センター計量検定担当までお問い合わせください。
計量証明事業の登録を行った事業者が使用している特定計量器については定期的に検査・検定を受けることが義務づけられています。
検査の実施時期
5.計量器及び商品の立入検査
正しい計量器による正しい計量取引の確保を図るために、取引に使用されている計量器や商品量目等の検査を行っています。
1.計量器
計量器の確認や使用方法の適正化等について指導を行っています。
2.商品量目
店頭で販売されている商品の量目等を検査し、不適正な商品の販売防止等に努めるとともに指導を行っています。
3.事業所等
特定計量器の製造・修理・販売事業者や計量証明事業者、水道やガスの供給事業者など特定計量器を取り扱う事業所に対し適正な管理がされているかの調査を行います。
商品の正味量が表示より少ない場合には購入したお店に申し出ましょう。しかし、水分抜けなどどうしても避けられない原因もありますので、誤差の許容範囲が認められています。これを「量目公差」といい、商品の種類や重さによって決められています。
誤差が大きすぎると感じた場合は大分県産業科学技術センター計量検定担当
(097-596-7102)までご連絡ください。